経営健診の格付け診断の考え方と、中小企業経営者・専門家が知っておくべき財務指標を体系的に解説します。自社の財務がどう評価されているかを知ることが、融資交渉の第一歩です。
経営健診の格付け診断は、銀行が行う内部格付けの考え方を参考に設計した独自の定量評価システムです。決算書をアップロードするだけで、以下のプロセスを自動で実行します。
自己資本比率・債務償還年数・流動比率など6つの財務指標を数値化し、重み付けスコアで評価します。決算書さえあれば、誰でも同じ基準で算出できます。
経営者の資質・事業計画の有無・主要取引先の安定性など、財務諸表だけでは見えない要素を10項目で評価。専門家が入力することで精度が上がります。
銀行の内部格付けでは一般的に「正常先・要注意先・破綻懸念先」などに分類されます。経営健診ではこれをG1〜G8の8段階で表示し、自社がどの水準にあるかを直感的に把握できるようにしています。
| 格付け | スコア目安 | 銀行分類(参考) | 融資姿勢の目安 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|
| G1 | 88点〜 | 正常先(最上位) | 積極融資 | 財務内容が極めて良好。優遇金利での融資が期待できる |
| G2 | 75〜87点 | 正常先(上位) | 積極融資 | 財務内容が良好。通常条件での融資に問題なし |
| G3 | 62〜74点 | 正常先(標準) | 通常対応 | 中小企業の標準的な水準。改善余地はあるが融資は可能 |
| G4 | 50〜61点 | 正常先(下位) | 条件付き | 一部に懸念あり。担保・保証人を求められる場合がある |
| G5 | 38〜49点 | 要注意先 | 慎重 | 財務内容に問題あり。返済条件の見直しが必要な場合も |
| G6 | 26〜37点 | 要管理先 | 原則困難 | 返済が滞るリスクあり。専門家への相談を推奨 |
| G7 | 1〜25点 | 破綻懸念先 | 困難 | 事業継続に重大なリスク。早急な経営改善が必要 |
| G8 | 0点 | 実質破綻・破綻先 | 不可 | 強制ルール(債務超過等)に該当。抜本的な対応が必要 |
以下の指標は、銀行が融資審査で重視する代表的な財務指標です。計算式・目安値・銀行目線での意味を解説しています。なお、経営健診の格付けスコア算出に直接使用するのは主要6指標です。それ以外は財務状況の理解を深めるための参考指標として掲載しています。「銀行目線スコア影響度」は格付けスコアへの影響度の目安です(高いほど格付けに大きく影響します)。
企業の財務的な安定性を示す最重要指標。自己資本が多いほど借入への依存度が低く、倒産リスクが小さい。
借入金を利益とキャッシュで返済し終えるまでの年数。銀行が融資可否を判断する際の最重要指標のひとつ。
1年以内に返済が必要な負債に対し、1年以内に換金できる資産がどれだけあるかを示す。短期の支払い能力の指標。
流動比率より厳格な短期支払い能力の指標。棚卸資産を除くため、在庫の換金性が低い業種では特に重要。
長期にわたって使用する固定資産が、返済不要の自己資本でどれだけ賄われているかを示す。100%以下が理想。
営業活動で稼いだ利益が、支払利息の何倍あるかを示す。1倍を割ると利息すら払えない状態。
本業でどれだけ効率よく利益を生み出せているかを示す。業種によって適正値が大きく異なる。
企業が保有する全資産をどれだけ効率よく活用して利益を生み出しているかを示す総合的な収益性指標。
株主が出資したお金をどれだけ効率よく使って利益を上げているかを示す。投資家・金融機関が重視する指標。
償却前利益とも呼ばれ、実際のキャッシュ創出能力を示す。設備投資の多い業種や、M&Aの企業価値評価でも使われる。
本業で実際にどれだけ現金を稼いでいるかを示す。利益が出ていても営業CFがマイナスなら資金繰りが危ない。
設備投資後に自由に使える現金。借入返済・配当・内部留保の源泉となる。銀行はここから返済原資を判断する。
売上に対して実際にどれだけ現金が残るかを示す。利益率より実態を反映しているとも言われる。
保有資産をどれだけ効率よく売上に転換しているかを示す。業種によって大きく異なる。
売上が発生してから現金回収されるまでの平均日数。日数が長いほど資金繰りが厳しくなる。
在庫が売れるまでの平均日数。日数が長いほど在庫が滞留しており、不良在庫リスクが高い。
回収不能な売掛金・使用実態のない固定資産・実質的な損失を純資産から差し引いた実態値。銀行は帳簿ではなく実態で判断する。
役員への貸付金は回収可能性が低いとして、銀行は実態BSの作成時に純資産から差し引く場合が多い。
不動産・株式・保険積立金などに含み益・含み損がある場合、実態BSに反映する。含み益があれば格付けが上がる可能性もある。
自社の財務指標が業界内でどの水準にあるかを知ることが、改善の第一歩です。以下は日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」をベースとした業種別中央値です。経営健診の「業種別比較」機能でも同データを参照しています。
| 指標 | 建設業 | 製造業 | 飲食業 | 小売業 | 医療・福祉 | IT・情報 | その他 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 営業利益率(%) | 3.2 | 2.8 | 4.1 | 2.4 | 6.2 | 7.1 | 4.8 |
| 経常利益率(%) | 2.1 | 1.9 | 2.8 | 1.6 | 4.1 | 4.8 | 3.2 |
| 自己資本比率(%) | 28.4 | 32.1 | 18.6 | 24.8 | 34.2 | 38.6 | 28.2 |
| 流動比率(%) | 134.5 | 148.3 | 98.7 | 118.7 | 138.9 | 156.4 | 125.6 |
| 当座比率(%) | 98.2 | 108.4 | 72.1 | 62.4 | 118.2 | 142.8 | 98.4 |
| 債務償還年数(年) | 12.1 | 10.8 | 9.4 | 11.2 | 8.2 | 6.8 | 10.4 |
| ICR(倍) | 3.2 | 3.8 | 4.1 | 2.9 | 5.8 | 8.2 | 4.2 |
| CF率(%) | 5.8 | 5.2 | 8.6 | 4.8 | 9.4 | 10.2 | 7.8 |
| 総資本回転率(回) | 1.42 | 1.28 | 1.89 | 2.14 | 1.12 | 1.08 | 1.32 |
| 売上債権回転日数(日) | 68 | 58 | 12 | 28 | 42 | 52 | 48 |
格付けは融資可否を決定するものではありませんが、金融機関の融資姿勢に大きく影響します。自社の格付け水準と融資手段の関係を理解することで、資金調達の戦略を立てやすくなります。
財務分析には業種別の平均値との比較が欠かせません。以下の公的機関が無料で公開しているデータを活用することで、自社の立ち位置をより正確に把握できます。
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